最近は地方でも、公立の中高一貫校ができ始め、私立も含め、全国で中高一貫校が身近に感じられるようになりました。中高一貫校に入学するためには、中学受験を受けなければなりません。教育の平等の観点からいうと、公立中高一貫校には少々疑問がありますが、ここではそれに目をつぶり、普通に公立中学校へ進学した場合とどう違うかをわかりやすく説明しましょう。

 

中高一貫校のメリット

メリット① 高校受験がないため、高校普通科の勉強を前倒しできる

多くの中高一貫校では、中学2年や3年の段階で、高校の知識を授業に導入している。

難関大学や、医歯薬系に結果を出す私立中高一貫校では、早いところでは、中学3年の時点で、高校1年の内容を完全に終わらせ、大学受験問題レベルの問題を解いている。公立中学校の問題と比べると、はっきり言って、大人と子供ほどの差がある。

公立中高一貫校でも、私立ほどではないが、高校知識の導入は進んでいる。英語と数学にそれは顕著にみられる。なぜなら、日本の高校普通科の勉強は、スピードが速く、量も多い。中学校のときとのギャップについていけない生徒が続出するのだ。

特に英語、数学でそれは顕著で、一般的な公立中学で普通の能力(中学のテストで6割~7割程度の点数)の生徒だと、高校1年時から、よほど真面目に学習に取り組まないと国公立レベルの偏差値はとれない(50~60程度)ことが多い。そこで、高校受験がなく、時間に余裕がある中高一貫校は、中学の段階で、英語文法や単語、高校数学で習う知識を導入して、そのギャップを埋めようとする。

教科書から高校レベルの知識を無理なく導入できる教科書を使う中高一貫校が多い。

その中でも、体系数学を使っている学校が多いようです。

 

 

メリット② 学力レベルが近い生徒どうしとなり、クラスの雰囲気が良い。

中学受験を通過しているので、優秀な学生が多いため、学力レベルが近い生徒どうしとなり、クラスの雰囲気が良く、また、大学受験に前向きな家庭が多いため、自然と環境が良くなる。学校側も当然実績を上げるために大学進学指導に力を入れている。

残念ながら、公立中学では運が悪いと学級崩壊に近い状態のクラスもあるので当然中学受験を希望する家庭は多くなる。

中学受験、中高一貫校。。。。。いいところだらけのような気がしますね。

がしかし、デメリットも多分にあります。
以下にデメリットを上げてみましょう。

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恐ろしいデメリット!

デメリット① 中学時点でついていけなくなると。。。苦しさが倍増する

1度ついていけなくなると、6年という超貴重な時間を無駄に過ごしてしまう。特に、中学の速い段階からついていけなくなると、その後は悲惨な学校生活が待っています。毎日の授業が無意味に過ぎていきます。

中学受験で運よく通過してしまう本当は学力がない人、もしくは、小学校の時、中学受験勉強を相当に頑張り、そのおかげで合格したが、本当は学力(地力)がない人は、中学の勉強になり、その質と量についていけず、本当は力があるのに、勉強嫌いになってしまう確率が相当にあります。

それは、教科により異なる場合もあるが、たとえば、数学が苦手な人は、とことん数学が嫌いになってしまい。点数が悪くても気にしなくなる。その原因の一つは、普通の公立中学校と、中高一貫校の授業にはレベル差がかなりあることにあります。テストのレベルも当然違い、苦手な教科を頑張って勉強しても、テストに難問が多いため、苦手な教科は、なかなか成績が上がらない。しかも、6年間で余裕があるはずなのに、5年間で一通りの学習を終わらせようとするためスピードが速くテスト漬けの学校がほとんど。

つまり、少々苦手教科を頑張っても、周りも優秀なため、成績が上がらない。どころか成果や達成感を感じらない子が続出します。これは、勉強嫌いになってあたりまえである。

こうなってしまうと。。。。。。子供たちがかわいそうにしか見えない。勉強嫌いになると、自信もなくなり、コンプレックスだらけになってしまう可能性があります。これは、結果を強烈に追い求める私立校でより顕著かもしれない。優秀な学校の影の部分です。

普通の公立中学であれば、苦手教科でも、ある程度学習すれば、なんとか点数を上げることができるし、モチベーションをなくしてしまうほどの状態になることが少ない。これは、12歳程度の子供の学力を、正確に見抜くことの難しさ、中学受験が抱える根本的な問題です。

高校受験は、ある程度、能力に合った進路を選択するいい機会なのです。

それが中高一貫校では奪われてしまいます。もしそういう状況に陥ったなら、慎重にですが、学校を中途退学しての高校受験を考えてもいいのではないでしょうか。。。しかし、それもかわいそうですよね。

デメリット② 理科社会の一般常識に弱くなる。そしてそのまま大人になる。

高校受験では、英、数、国、理、社すべての知識が均等に必要です。日本の公立中学校のカリキュラムは非常に良くできていて、塾講師をしていて気づいたのですが、一般常識としての理科、社会(地理、歴史、公民の政治に関する知識など特に重要)は、生きていく上で役に立つ、非常に重要な知識ばかりです。

それに比べ、高校普通科の勉強は、各教科、学問としての基礎を学ぶことが中心で、実生活には、将来、使いそうにない知識ばかりです。残念なことに、中高一貫校では、この中学知識がなおざりです。特に理科と社会は悲惨なものです。みんな復習をしません。もちろん、テスト前は理科や社会も頑張って勉強するのですが、ほとんどの人は、その場のテスト限りで忘れてしまいます。高校受験がないため、興味がない分野は特に知識が付きません。目的が大学受験だからです。

大学受験は、自分の得意な教科のプロにさえなれば乗り切れます。教科数の多い国立大受験は若干違いますが、それでも教科の選択がある程度可能です。たとえば、中学1年理科で習う、地震の基礎的な知識。P波とS波の違いを知らなくても東大まで行けてしまうのです。高校受験がある場合はそうはいかないのです。

本当は、中学の勉強にこそ、勉強の面白さと、日常生活においての重要知識が隠れているのです。それに、気付かず、成長してしまうとどういうことが起きると思いますか?個人的には高校受験は受けてほしいのですが。。。。。。

結論として考えてほしいこと

私の子供は小学生で、この先中高一貫校に通わせたいとは思っていますが、まだ迷っています(現在小3)。しかし、もし中学受験を目指し、上位校に落ちたしても前向きに考えようと思います。公立中学にも、いいことはたくさんあります。

地域によっては、中学受験が当たり前になり、上位校を目指して、それがダメなら下位校でも何でも私立中高一貫校がいい!という雰囲気のところもあるようですが、

中高一貫校に通う生徒を見てきて、私が感じる注意点は、

鶏口と為るも牛後と為る無かれ

です。もちろん、上位校に受かることは素晴らしいことだと思います。受験に全力で取り組むことも良い経験になると思います。しかし、その後に余裕があることも大切です。

あまりにも勉強のプレッシャーが大きい学校には気を付けた方が良いと思います。あくまでも本番は6年後なのに、中学1年から気が休まらない生活で、まだ12歳の子供に、大学受験のプレッシャーをかけすぎるのも良くないかもしれませんね。

公立中学校と中学受験を迷っている方がいれば、中高一貫校の前倒し教育にはデメリットも多分にあることを考慮に入れて、最終判断を下してもらいたいものです。

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