子供の成績が悪いのは親が原因?

子供が勉強できないのは本当に親のせいか?

お子さんの成績で悩んでる方は分かっていないというか知らないかも事実があります。
それは、まず、子供の学力とは、ほとんど遺伝的な要因で決まることが科学的に証明されているということです。
つまり、持って生まれた遺伝子、能力でほぼ学力や成績は決まっていしまうという残酷な事実があります。

この事実を受け入れられない方も多くいます。
反論される方も多くいます。

子供の成績は「遺伝」で決まることの科学的な証明

行動遺伝学のデータでは、学力のばらつき具合のおおよそ60%から70%は持って生まれた能力で説明できてしまうという現実があります。もちろん、これは個人一人一人について、すべて当てはまる数字ではありませんが、塾講師を長年して、毎日子供たちの成長を見ている私もこの事実は受け入れざるを得ないというのが正直なところです。

つまり、成績が悪い、良いは、だいたい遺伝の影響でほとんどが説明されてしまいますので、遺伝の影響ということは、学力や成績は「親のせい」ということになります。

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親の家庭での教育や環境整備は、あまり影響しない!?

この「学力成績は遺伝で決まる」に反論される方は、必ず「環境」や「教育」さえ良ければ、そして本人の努力さえあれば、子供たちの成績は「悪い」から「良く」することができると言います。つまり、子供の成績が悪いのは、親が作る「環境」や「教育」が悪かった、そして本人が努力しないことが一番悪い と。。。

本当に親や努力しない本人が悪いのでしょうか?

 

成績が悪いのは本当に子供たちの努力不足でしょうか?

あなたは思っていませんか?

野球やサッカーで努力を続ければ、最初はすごく下手な子供たちでも、それらを習っていない子供たちに比べたら上手になる。だから、勉強だって塾に通い、学校外での勉強量さえ増やせば、できるようになり、成績があがあるはず。と

こういう人たちに対し、私はこう反論します。

ポイントは二つあります。

ポイントの一つ目

成績は周囲との相対評価

たしかに、塾に通えば、勉強をすれば、できなかったことができるようになる。ただ、成績が上がるか、上がらないかは別問題ということです。成績は相対評価、周りと比べての評価です。塾に通い、本人が努力し、多少今までよりできるようになったとしても、周りが、それ以上にできるようになっていれば成績は上がらないどころか下がる。つまり、勉強が苦手でセンスがない子が成績を上げるには、周りの子と同じか、それ以上にできるようにならなければいけません。ただでさえ今まで遅れいている。しかも、できるようになるには、時間も手間もかかる。

そう考えると、もともと勉強に向いていない、勉強が苦手な子の成績を上げることは、相当難しい、相当困難とういことがわかります。

想像してみてください。

苦手なことに努力することは、子供だけでなく、大人にとっても、メンタル的なハードルは相当に高く、物理的にも難しい(時間が足りないし、周りは待ってもくれない)。勉強をしようとしない子は、勉強にやる気がでなくて当然ということになります。勉強へのセンスがない子ほどそのハードルは高く、やる気が出なくて当然ということになります。

 

実は「環境の違い」はほとんどない

スポーツと違い、勉強に関しては、世の中すべての子供たちが、ある一定水準以上の同じ教育(日本の公教育)を受けているということです。しかもほぼ毎日です。

塾に行っていない、普段家庭学習をしていない子でも、学校で授業を受けていれば、その教科の教えるプロ資格を持った人からかなりレベルの高い指導を毎日受けているということです。

野球やサッカーと違い、それを子供のころからしていない人(つまり勉強をしていない人)はいないに等しいのです。

つまり、残念ながら、現在の成績は、あなたの子供の遺伝的能力のみが現れているといっても過言ではないのです。

そう考えると成績を上げることがいかに難しいかがわかると思います。
塾に通ったからといって、家庭学習の時間を増やしたからといって、いい先生に習ったからといって、成績や学力は簡単に上がらないのはこれが理由です。

誤解しないでください

私は、勉強ができない子は塾に行く必要がないとか、成績が上がる可能性がないとか、努力が無駄だとか言っているわけではありません。

私が言いたいことは、
塾に行っても成績が上がらないと嘆いている人は、成績が上がると期待して塾に行かせても無駄になる可能性は高いということです。親の期待が大きすぎ、塾から受けるサービスを過大評価してしまっている可能性が高いのです。

じゃあ成績が上がらない子は塾に行かせる意味はあるのか?

あります。

放っておくともっとできなくなるからです。塾で一生懸命に勉強すれば、ほとんどの子は少しずつですが解ける問題は増えていきます。できることが全く増えない子は、学習障害か何かの障害を抱えている子です。

ただ、このポイント二つによって
(できるようになっても、周りはもっとできる)
(全員が良い教育を受けている世の中では、遺伝的能力がそのままでる)

できることが増えても成績が上がらない、下がる、
学校のスピードにはついていけない、
覚えることが多すぎて、前にできるようになったことをほとんど忘れてしまう
勉強にやる気がいっこうに沸かない など

こういうことは、当たり前のように起きます。これが現実です。

本当の「犯人」は別のところにいる

社会の幻想

要するに成績が悪いのは、親の教育や学校の教育、塾の教育が悪いわけではなく、ある程度は仕方がないと現実を受け入れなければなりません。

受け入れられない方は、社会が作った、官僚たちが作った、勉強が得意な人たちが作った既得権益のようなものに「洗脳されてしまっている」とも言えるでしょう。

勉強が得意な、学歴が高い人が優位に人生を進めることができる社会であることは間違いありませんが、同時に、誰もが努力するれば成績優秀になれるという幻想を信じ込ませるような社会を、「勉強に優秀な」人たちが作り上げてしまっています。

学校の勉強5教科だけを過大評価することが、「正しい」「努力の結果」という社会に疑いを持ちましょう。

特に勉強が苦手な子供たちを持った親は、そこに抵抗しようとしても苦労するだけです。

劇的ドラマに隠された恐ろしい「努力信仰」

このような「洗脳」状態を作り出す大きな要因に、成績や偏差値が悪かった子供たちが、良い指導者に出会い、劇的に生活態度が変わり、大きく学力を上げていくとういう漫画やドラマが時々世に出てくることも上げられます。

「ビリギャル」や「ドラゴン桜」最近では「二月の勝者」など、

これらのドラマは、良い指導者、良い親、良い環境さえあれば、成績は誰でも上がり、トップ校合格は全く夢ではないという

「ウソ」

を広く人々の脳裏に焼き付けます。これは、恐ろしいことです。

もちろん、ドラマとしては面白いし、ビリギャルなどは本当に起きたことでドキュメンタリーに近いのですが、これは、誰にでも起こせる奇跡では決してありません。例えば東大の入学定員は約3000人、全18歳人口は少子化が進んだ今でも120万人程度いますから、わずか0.25%のしか受からない狭き門です。1000人に対して2,3人しか合格できないのです。努力で何とかなる世界ではありません。他の難関大学をすべて含めても数パーセントです。つまり、ランダムに1000人子供たちを揃えて、その中で徒競走をし、良い指導方法や環境や、本人の努力があれば、誰でも10位以内に入れると言っているようなものです。しかも、その1000人は、もれなく全員が、プロの指導を受けている状況で

努力と環境だけで、1000人の中の10人(1%)になれますか?

恐ろしいテレビや社会の同調圧力

最近ではさすがに減ってきましたが、芸能人が大学受験に挑戦するという番組企画や、プライベートで受験に挑戦するというニュースが時々流れてきます。

これも、良い指導者がおり、お金さえかければなんとかなるという、「大きな勘違い」をしている「学力優秀な」テレビマンたちの浅はかな考えの現れです。

このような企画では、決まって短期間で勝負をします。短期間で成績をあげることが「かっこいい」「インパクトがすごい」とでも思っているのでしょう。しかも、成績が悪いとこからの方がテレビ的には受けます。そして、受けるところは決まって有名難関大学。

このような企画で合格に成功している企画は見たことがありません。東大合格者である堀江貴文氏が立ち上げ、比較的高偏差値のタレントを集めたネット番組企画でも惜しくもなく全員不合格です。でも、テレビ的にはなんとかかっこをつけるため、短期間で点数がこれだけ伸びた!などと、本人の努力や企画の成果を無理やりに作り上げます。

そして、環境と努力で、「誰でも」成績を上げ、合格は可能だ!という、世間受けする都合が良い結果に恣意的にまとめていくのです。

 

これも、勉強が苦手な子供たちを苦しめ、その親を金さえかければ「勉強は簡単にできるようになる」という勘違いに走らせる大きな要因を作ります。

教育の最先端とは

最近の心理学、教育学の最先端の研究では、非認知能力(いわゆる性格に関わる部分)が学力やその後の経済力に大きく関わっており、それをどう伸ばすかの研究が盛んに行われているようです。著書もいろいろ出ています。

 

性格力の大切さ(以前の記事)

当ブログでもこのテーマを幾度か扱ってきましたが、次回はこのことについて記事を書こうと思います。

 

追加更新

次回分公開済みです。下記記事です。

 

 

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