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意外と多い「子供をつぶす親」
私は塾を経営し、長年、体験授業での保護者対応、そして面談、家庭学習や進路の相談を保護者から受けてきました。
そのなかで、確実に、「子供にとってマイナス」な親を見てきました。
おそらく、この記事を読まれている方の想像を超えてその数は多いのではないでしょうか。。
それは、なぜかというと、世の中のしくみ、社会に問題があるからです。
それはどういうことか?
「成績が上がらないのは努力不足」という誤解
「勉強すれば成績が上がる」「成績上がらないのは努力不足だから」
「成績を上げたければ、もっとたくさん勉強をすれば良い」
これらは、親がよく言う言葉です。これらはとても便利な言葉ですが、とても危険な言葉です。
成績は、まったく努力に比例しません。
私の経験上、おそらく、学校の成績に最も大きく影響を与えるのは、持って生まれた能力である
「地頭」の力です。
もちろん、その差を努力で埋めていく人もいますが、その差はとてつもなく大きく、「努力」のひとことで、簡単に片付けられるものではありません。
成績を決める公式とは
地頭の差は、努力に対してかけ算で差が付きます。簡単に式にすると次のようになります。
成績=努力✕地頭+α(塾などの環境要素)
ただし、残念ながら、努力はほとんどの人がしています。毎日、学校に行って、出席して授業を聞いている時点である程度の努力はみんなしているのです。しかも、地頭が良い人ほど、勉強が好きな傾向が当然強いため、努力も心理的ハードルが低くなり、地頭が悪い人よりも努力しやすい状態です。
つまり、「成績を上げていく」ことは。ますます地頭に影響され、
地頭を逆転して、成績を上げていくことは至難の業であることがわかります。
まず、この事実を知らない親は、子供に「理不尽な要求」をしてしまうのです。
努力でなんとかなると勘違いしている親が子を「つぶす」
努力は大切です。
自分の可能性を広げるため、日々の勉強や仕事に努力することは、生きていく上で、もっとも大切であることの一つでしょう。そして、そのことを子どもたちに教えなければならないことは、よくわかります。
私は、それを否定しているわけではありません。
しかし、それが、成績や、受験となると、親の期待通りにいかないことを「努力が足りないから」と、自分の遺伝子のおかげで「地頭が悪い」子供にむかって、「努力で成績を上げろ」といったところで、それは理不尽な話です。それは、科学でも証明されているのです。
子どもの勉強や成績が親の期待通りにいかないとき、そのときが、大切です。
勉強しようとしない、やる気がない、ゲームばかりする、テスト前日の勉強に身が入っていない。
このような状態だと怒って当然だと思いますが、怒ることも必要なのは間違いありません。
しかし、それが続くようなら、少し違う角度から物事を考えましょう。
「日々の生活でストレスが必要以上にストレスが溜まっていないか?」
「学習障害のような症状があり、学校の授業が聞けていないかもしれない」
「毎日規則正しい生活がおくれているか?適度な運動ができているか?」
「両親が喧嘩がちで、家庭の雰囲気が悪くないか?」
「学校の人間関係は上手くいっているか?」
「親の期待が、子の実力に対して大きすぎるのではないか?」
親の期待が、この実力に対して大きすぎる
この部分が、一番大切なのかもしれません。
親の期待と、この実力のギャップ、これがはげしいほど、大きな衝突が起きています。そのような家庭をたくさん見てきました。
また、兄弟姉妹での学力差、性格の違いに悩んで子どもを攻撃してしまう親も多くいます。
自分の遺伝子が入っている我が子です。
パートナーの遺伝子が半分入っていますが、そのパートナーを選んだのはあなたです。
その遺伝子の影響を受けて育つ我が子を、ダメな子だとか、なぜ言うことを聞かないのかと、嘆く前に、親自身の考え方を変えていく努力も必要なのではないでしょうか。