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東大出身者の平均年収は600万円から730万円
これを高いと思うでしょうか? 安いと思うでしょうか?
日本人の平均年収は441万円というデータがありますが、それからは当然高いのですが、平均的な学力と、東大に入学できる人の学力差を考えると、思ったほど高くない。。。というのが正直なところではないでしょうか。平均でということは、600万円以下、500万円以下の人もゴロゴロいるということです。
東大に入学する人のほとんどは、それぞれの地域で天才と言われるような、「超」がつくほど優秀で、そして相当な努力もしてきた人たちです。高額な教育費をかけてきた人もたくさんいるでしょう。もちろん、遺伝的な才能にも恵まれていないと東大受験に合格することはできません。勉強すれば誰でも合格できる世界ではないのです。同年代の東大生になる割合は、わずか、0.2から0.3%。100人に1人もいない、1000人に2、3人ということです。
それにしては。。。平均年収は低いような気がしませんか?
東大の平均年収は、高学歴が全てでないことを物語っています。
もちろん、知能が高い人が高収入である傾向に変わりはないようですが、当サイトの記事でも書いた「遺伝と学力、成績の関係」ほど、収入には遺伝はあまり関係ないようなのです。そのことについては後で詳述するとして、
まずは、東大だけでなく、他の有名大学の就職状況を見てもそれがわかります。
有名大学からでも大企業に就職できる人は少数派
一般的に、世の中の子供を持つ親たちは、子供たちに一生懸命勉強をさせて、学力をつけ、良い大学に通ってもらい、大企業に就職して、経済的に安定した家庭を築いてもらいたいと思っている人は多いのではないでしょうか?
そこで、調べてみました。
東証一部上場企業(一般的な大企業と考えて良いでしょう)の平均年収は約600万円で、合計の従業員は300万人ほどです。日本の労働人口は5660万人(2019)で、そのうち正規の職員、従業員数は3494万人です。ですから、東証一部上場企業のような、一流企業で働く人たちは、正規雇用全体の約10%程度だということになります。
また、誰から見ても安定の代名詞である公務員は、国家公務員と地方公務員を合わせて330万人ほどです。この方たちも就職の成功組と見たとしても、一流企業と公務員合わせて約630万人ですから、雇用全体で考えれば、10人に、1人、2人程度しか、安定した職業にはついていないということになります。
一方、大学卒業生が一流企業へ就職できる割合を示した、大学別主要400社就職率ランキングというものがあります。
MARCH・関関同立の「一流企業への就職率」ランキング、就職力に大差!(ダイヤモンドオンライン有料記事)
こちらは、東証一部上場企業に限らず、主要400社となっていますが、従業員数が多い順で日本の会社をならべると、400位は7000人を超えていますから、東証一部上場企業従業員数約300万人と比べても支障がないとすると、面白いことがわかります。
この大学ランキングの1位は、東京工業大学で、その一流会社就職率は57.4%(2019)、2人に1人は一流企業に就職しています。流石に、理系の雄だなと思いますが、その後が驚きです。
なんと、トップ10以降、大学偏差値ランキングとは全然違う、一般的には聞いたことがあまりないような大学が出てきます。旧帝大でトップ10に入っているのは、大阪大学(9位35.6%)だけで、東大はなんと26位(27.5%)、京都大学、名古屋大学、九州大学、神戸、東北など旧帝大はトップ10に入っておらず、北海道大学に至っては、33位(24.8%)です。
ちなみにこのデータは大学院進学者数は引いて計算しており、一流企業就職者数➗卒業生で計算しています。国家公務員への就職はあったでしょうが、それにしても意外な数字ではないでしょうか。
また、私が最も興味を持ったのが、その一流企業への就職率の低さです。
日本の大学は、全部で700以上あります。その中の上位58校がこのランキングに示されていますが、22位の東北大学以降、就職率が30%を切ってしまいます。つまり、10人に3人以下しか日本の一流企業に就職できていないのです。難関大学を卒業してもそのような状況です。
58位の広島大学は、なんと16.4%と、先ほど私が示した、全正社員のうちの一流企業社員の割合とそう変わらないという結果になってしまうのです。計算の方法が違うので一概に言えませんが、それにしても、高偏差値である大学にも関わらず、50位(上位8%)を下回ると、10人に1人か2人しか一流企業に就職していないのです!
一般的な、我々、親たちがイメージしている有名大学の就職状況とは、少しイメージが違うような気がします。
有名大学、高偏差値大学に入学を果たしたとしても、一流企業に就職できる人は、間違いなく少数派なのです。
収入と遺伝、収入と家柄の関係にある意外な科学的事実!
当サイトで何度か紹介してきましたが、遺伝は学力に大きな影響を与えます。
果たして「遺伝と収入の関係」も、遺伝の力は、収入に対して、学業成績と同じように大きな影響を与えるのでしょうか?
一般的なイメージでは、勉強ができる学業成績の良い子供たちは、良い大学に行って、良い就職先を見つけることができるわけで。その学業成績に遺伝が大きく影響するのであれば、当然、収入にも遺伝が影響してくるはずではないでしょうか?
また、もともとお金持ちの家や、家柄の良い家庭に生まれていれば、当然、親の人脈を活かして、就職にも有利であり、高収入の仕事に就くことも容易であるようなイメージがありますが、その場合、遺伝はあまり関係のないような気がしますが、本当にそうなのでしょうか?
上記記事で紹介した行動遺伝学は、そのことについても調査、検証しているようで、以下のような結果が出ています。
アメリカの行動遺伝学者ロウらは、きょうだいと半きょうだい(片親が同じきょうだい)に対する研究により、収入の42%が遺伝、8%が共有環境(家族を似させるように働く環境)、50%が非共有環境の影響であると算出しました。
また、スウェーデンのビョルクルンドらは、双生児ときょうだいのデータに基づき、収入への遺伝の影響は20〜30%、残りは非共有環境であると算出しました。日本人の9割が知らない遺伝の真実より
なんと、収入への遺伝の影響は、明らかに、学業成績に対する影響より小さく、しかも、共有環境(ここでは家族の影響として考える)の影響がほとんどなく、家柄はあまり関係がないという結果なのです。
にわかに信じ難いのですが。。。。。
日本の山形氏や経済教育学の著書で有名な中室氏らによるデータでも同じような結果が出ています。
収入全体に及ぼす、遺伝の影響は約30%
共有環境の影響も、就職し始めの20歳くらいのときは70%と大きいのですが、働き盛りの45歳くらいには、なんと共有環境(ここでは家族の影響と考える)の影響は、ほぼ 0%! になるそうです。
しかも、もっと驚くべきことがあります!!
それは、この30%の収入に対する遺伝の影響のうち、知能(IQ)や学歴がどの程度影響しているかです。
学力や学歴は、将来の収入にあまり影響を与えない!?
ロウは、収入とIQおよび教育年数の相関を調べ、その結果、収入に与える遺伝の影響のうち、IQや教育年数によって29%が説明できることを示しました。逆にいうと(遺伝要因のうちの)71%はIQや学歴では説明できないということです。山形らの日本の研究でも、学業成績や教育年数の遺伝要因によって収入の遺伝的影響のおよそ半分が説明されましたが、残る半分(15%程度)はそれ以外の遺伝要因です。つまり、勤勉性などのパーソナリティといった形質や、まさにそれぞれの職業に直結する能力の遺伝要因も収入に影響を与えていると考えられます。
日本人の9割が知らない遺伝の真実より
このデータを参考にすれば、
子供たちの将来の収入は、たったの15%しか、学力や学歴の影響を受けないということです。
残りの85%は、「持って生まれた勉強する力」以外のところで決まるということです。しかも、どの家庭に生まれたかはあまり関係がない。
これが意味するところは大きいと思いませんか?
学校の成績が悪い、塾に行っても成績が伸びない、勉強にやる気が出ない。。。。
そのように遺伝的に勉強に向いていない子供たちを、、、
毎日のように叱って、
無理に勉強させたり、
塾にお金をかけたり、
有名大学にこだわらなくても、、、、
子供たちの将来は、考え方次第で、勉強以外で勝負する道が、いくらでもありそうです。