算数ができない小学生の本当の理由とその現実を抜け出す一歩とは

数の感覚がない算数嫌いな子供たち

今日、小学校5年生の女の子を指導していました。三角形の面積の基本的な問題でした。

底辺×高さ÷2

本人も、余裕で式をたて、解き進めることができていました。

ちょうど1ページが終わり、答え合わせをしました。だいたい正解ですが、同じような問題で計算間違いがあります。2で割り切れない問題です。その間違いの一つがこれです。

49÷2=245

私は、ただの書き間違いかと思い、「245は変でしょ? 正解は?」私が期待したのは、当然、本人が245という数字の大きさに間違いを気付き、ああ小数点の忘れねと「24.5」とすぐに答えてくれると思っていました。ところが、本人は、

「????」

どうやら、245㎠が変だとは思っていない、小数点が必要なことに全然気が付かない様子です。

私は、質問を変えました。

「49を2で割って、245になるのは変でしょう? 意味を考えるとおかしい。なにかが足りないと思うんだけど」

それでも

「????」

じゃあ

「8÷2は?」(私)

「4」(生徒)

「9÷2は?」(私)

「4あまり1」(生徒)

「1も2で割ると?」(私)

「????」(生徒)

困った私は、「1を10で割るといくつ?」と聞きましたが、

「????」

じゃあ

「0.1を10個集めるといくつ?」と聞いても、

「????」

どうやら、小数そのものの概念をわかっていないようでした。しかし、この生徒は、分数、小数の基本、そしてひっ算を含めた計算方法を知っています。なぜなら、49わる2の計算で、245と言う数字が出てきているわけですから。。。。また、学校でも、塾でも計算はいやというほどやっています。この生徒は、特別に成績が悪いわけではないが、もちろん良い方でもない。算数は自分で特に苦手とは思っているが、ごく普通の女の子です。

これは、算数の苦手な子供たちの現実です。とにかく、数の感覚が育っていない子がたくさんいます。

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大問題は、感覚で数字の間違いに気付けないこと

ここで、一番問題なのは、三角形の面積を求める式を立てることができたにもかかわらず、「計算間違いをしたこと」「小数の計算方法を忘れたこと」にあるのではないのです。「数」の感覚がまったく育っていないことが問題なのです!!

どこかで、興味を置いてきてしまったのでしょう。77÷2が245となって、「おかしい!!」と思う感覚が、とても大切なのです。

そして、小数や分数が何を表し、割ること、かけること、足すこと、ひくことを感覚で掴むことができていないから答えが出せないのでしょう。

他にも例を挙げましょう。これも小学校算数の問題です。

人が分速6mで歩いています。 秒速はいくらですか?」

「答え 秒速360m」なんて答えを書く生徒たちがたくさんいます!!(ちなみに正解は秒速0.1m)

1分は60秒だから 60かけたが理由です。

1秒に360mで歩く人間が、どんな速度かを想像しないのです。(当然ボルトでも無理です笑)

これも、分速から、時速や秒速へ変換する場合は、60を「かける」 もしくは「わる」と覚えていて、意味を理解しようとしていないからこういう結果が出てしまうのです。ちなみにこの問題、算数が好きな子が解くと、問題を読むなり、「おそっ!」と言います。なぜだかもうわかりますよね?

1分で6メートルしか進まないのは「相当に遅い」とわかっているのです。算数、数学に苦手な人ほど 数字をイメージできない、もしくは考えようとしないのです。これは、公立小学校のテストで90点くらいをとり続ける生徒でも実は、「よくあること」なのです。

今からでも遅くない!小学生のうちに「数」への興味をつける

上記の質問に答えられるからといって安心してはいけません。テクニックはよく知って、頑張って高得点をとることができるのだけれでも、算数の本質になると、まったくというほど、「ちんぷんかんぷん」小さいころ(特に小学校中から高学年)から、「やり方」を中心に学習してきた人で、数学が苦手な人は、本当にたくさんいます。

こうなってしまう原因は、

  • 数字への興味が育っていない
  • 持って生まれた能力からくる得意不得意の問題
  • 考え抜いてわかった時の感動を知らない

遺伝的な能力は仕方がないことですが、それでも、その中でもできることがあります。それは、塾に通わせることはではありません。塾に通わせることは、テクニック中心になるのであまりお勧めできません。(塾講師が言うのもなんですが)

日常生活にこそ、チャンスがたくさんあります。ここでは、ひとつの例を紹介しましょう。

家族で車で旅行に行くことになりました。子供が楽しみにしていたディズニーランドです。しかし、連休初日大渋滞にはまりました。すると子供が「あとどれくらいで着くの?」とくずり始めます。そこで心ある親はDVDなど見せません。「自分で計算してみたら?」と言います。数学が好きで、好奇心が育っている子供ならば喜んで挑戦します。もし、子供がわからなく止まっていれば少しづつヒントをあげます。あと何キロで、だいたい時速何キロぐらいで走ってるなあとか、地図を見せ、距離の測り方を教えると目をキラキラ輝かせるはずです。もちろん、自分で考えているときはヒントを出さない方がいいでしょう。高速には100mきざみの看板を目にすることもでき、距離に関する看板がたくさんあります。また、道路に出ている旅行時間の掲示がどのようなしくみなのかも説明できます。興味を持たない場合は、ごほうびをあげても構いません。正解に近い人には、好きなもの買ってあげるとか、乗り物に一番前で乗れるとか。。。。

親が工夫すれば、遊びや生活のなかで、基本的な数字の理解や、興味を持たせることは可能なのです。面倒くさがらず、やってみましょう。親も楽しみながら、子供たちと一緒に勉強するくらいがちょうどいいかもしれません。小学生くらいまでなら、効果絶大ですよ!

 

 

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