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中学2年生、実力テストでなかなか点数が伸びない
来年の中学3年、高校受験に向けて、先日、読者の方からご相談を受けました。よくある悩みだと思いましたので、この記事で私なりの意見を書こうと思います。
(中略)
模試では、偏差値67の公立進学校への合格率は60〜80%ありますが、順位的に中の下になってしまいます。 また、併願に考えている私立は偏差値59ですが、そこは三年間で四年分をこなすカリキュラムがあり塾に行く必要がなくなります。
(中略)
この両校の進路実績はともに現役での国公立大学合格率は45%あります。
子どもは塾の模試を受けた後に間違えたところを再度掘り下げて見直したりせず、放置してしまうタイプで、自分から積極的に勉強するタイプでありません。
こういった実力とタイプの子どもにとって、公立進学校+塾の形か、もしくは私立特進コースで手厚く管理してやってもらうか?どちらの方が大学受験で国公立大学を目指すのにメリットがありますでしょうか?
もし国公立が難しくなった場合には、私立特進コースの方が関関同立枠を使わせてもらいやすいと思います。
アドバイスいただけますか?
実力テストで点数が悪いのは地頭が悪いから?
定期テストは、テスト範囲が比較的狭く、授業がベースに作られているのでやはり比較的点数が取りやすい学校が多く、その分実力テストは難易度が高くなる。そして、実力テストは、テスト勉強をせずに臨む人が一定数います。本当の実力が試されるわけです。
また、社会や理科も一度習っていることを忘れやすい人ほど点数を落とすので、やはり、実力テストは真面目さだけでは乗り越えにくいのは事実です。
しかし、質問者さんの場合のように、定期テストで90点取っている場合、おそらく、勉強へのやる気や向上心、自制心で乗り越えることが可能です。合計400点は突破できるのではないでしょうか。苦手教科の勉強はそこそこに、得意教科を極めて総合点を上げることが可能です。本人の感情を上手く煽って、その気にさせることは簡単ではないですが、プライドを刺激して、なんとか本気のやる気を引き出したいところです。
どのように高校選択をすべきか
同じ普通科でもテスト難易度やスピードが違う
普通科では、ほぼ同じ内容のことを、私立公立に関わらず授業で行います。
学校によって違うのは、そのテスト範囲や難易度、そして授業スピードです。しかし、私が毎日高校生に接していて思うのですが、どちらにしてもその量は半端なく多く、英数国に加えて理科社会までしっかりついていくのは至難の技といっても過言ではないでしょう。部活動や音楽活動、遊びなどに毎日の放課後を使っている人は、地頭が少々良いくらいでは、普通、成績が落ちていきます。
したがって、国立大学合格レベルを維持できる人は、真面目にコツコツと勉強している人が多くなります。そして、公立私立、学校の難易度に関わらず、学校の授業で習っていることをしているだけでは大学合格レベルの学力はつきません。塾に週何回か通っても焼け石に水です。自分一人で勉強する力が必要になります。
大学受験に成功するかどうかは、一人で勉強できるかで決まる
例えば、学校で教わる英単語、熟語の数はたかが知れています。文法は丁寧に教えてくれるでしょうが、高校1年時の全国模試の時から、見たこともない英単語がバンバン出てきます。数学も同じです。数学の基本的な考え方は教えてくれますが、テスト範囲として指定される問題集の問題を全て授業で解説することは不可能なので、自分で解説を読み、自分で解き方や考え方をマスターしていくのです。「読んで理解する力」が必ず必要になります。全て教えてくれる中学の勉強とは全然違います。
最初に出てきた質問者のお子様の場合、公立にいったとしても、私立に進んだとしても、どちらにしても本人の大学受験へのモチベーションと性格とが影響しそうです。つまり、一人で学習を積み重ねる力があるかどうかです。現時点で勉強が積極的でないのにも関わらず、今の点数があることを余裕がある、つまりメリットと捉えても大丈夫だと思いますので、高校でのモチベーションをいかに早くから上げるかを考えたいところです。
ここで公立と私立のメリットとデメリットを上げておきましょう。
公立高校と私立高校のメリットデメリット
公立高校(普通科)のメリットとデメリット
合格するならばやはり私立より公立高校がオススメです。やはり学費が安いのは魅力的です。結局、大学受験の成否は、自分の向上心、自制心次第なわけですから、塾費も抑えても結果は変わりません。家計に合わせた塾を選択すれば大丈夫です。これだけネットが普及すれば、塾に通わずとも十分な情報が手に入ります。
デメリットは部活や文化祭、そして授業スピードなど、私立に比べると、全て大学受験優先には考えてくれません。例えば、受験に必要のない科目なのに受験前に授業をきっちり受けなければならなかったり、無駄が多い。学校の大学進学実績にはある程度モチベーションは高いですが、先生の移動も多く、融通が効かないことがあります。センター試験は絶対受けなければならなかったり、国公立優先の学校も多いです。それが学校の評価に繋がるからでしょう。
私立高校(進学特化クラス)のメリットデメリット
メリットは、とにかく大学進学実績を優先的に考えてくれること。例えば、高校3年時には、自分の進路選択に合わせたカリキュラムを組んでくれます。文系の生徒には、数学をまったく勉強しなくて良いような状態を作ってくれたりするわけです。夏休みや冬休みの補習、自習室の利用なども公立よりは集中できる環境にある場合が多いです。数年前に卒業単位取得の問題や、実績の水増しの問題などありましたが、それでも公立高校に比べるとはるかに融通が効きます。
デメリットは、費用面では高くつくのは間違い無いでしょう。いくら学校が塾が必要ないと言っても、塾に通っていたり、家庭教師をつけている生徒が多いはずです。それくらい勉強中心の生活に追い込まれます。かと言って、本人にやる気があればいいですが、反抗期でそれに反発する子は、逆に潰れかねません。(そのような生徒を私も何人か見ました)
公立高校では、1年、2年次に部活をしたり、遊んでも、3年時で、やる気になり、猛烈な追い上げで有名大学に合格する生徒は多くいますが、私立ではそういうケースは少なくなります。遊んでしまうと落ちこぼれて元のやる気に戻ってこれないことが多くなります。
最後の決め手は本人の気持ちと責任
理想は、上記のメリットとデメリットを知った上で、本人が決定することにあると思います。
プラスの情報もマイナスの情報も本人の前に提示し、大学進学を目指すならばどちらが良いか、行きたいか、憧れるかを考え第一志望を決めます。それが、少々無理な志望でも、最後まで諦めず頑張ることを約束させましょう。その上で受験勉強に臨みます。
おそらく、中学3年になり、受験に近づくにつれ、本人の気持ちも家族の気持ちも揺れ動いていくと思います。成績が上下する場合もあります。色々情報を集めながら、願書提出の1ヶ月か2ヶ月くらい前まで悩みましょう。直前に志望を変える人はたくさんいます。
大学進学することが決まっていれば、高校の選択は、ある程度幅を持って決めても大丈夫です。普通科の勉強はどこも大差なく、進学校であれば下位で入ってもスタートで頑張れば大丈夫です。結局は、どこに行っても大学受験は本人次第です。まずは、本人が「行きたい」と心から思える学校を第一志望にして行けるところまで頑張ってみましょう。本人が決めれば責任感も芽生え、自ら学習する意欲が湧くはずです。