レベルが「中の下」の普通科の現実

とりあえず高校普通科を選んでしまう人は多い

とりあえず高校普通科に行けば、
大学への進学のための勉強ができるし
特にやりたいことがない生徒には選択の余裕が3年間できる

だから、中学3年での成績が平均取りかねるけど、

とりあえず、進学可能なレベルの普通科に行かせよう、行こう。

と考えて
高校普通科に進学する人は大勢いると思われます。
実際、私の塾でもそのような選択で高校進学する人は多くいます。

 

実は、そこには多くの「悲劇」が隠れています。

その悲劇とは「学習内容がとても難しい」ということです。

 

一般の公立中学で平均がとれない、
つまり、普段の中間期末テストでは60点か良くても70点(注:学校により差があります)
公立高校入試レベルの問題では50点前後かそれ以下

そのような生徒が高校普通科に進学した場合、
必ずと言っていいほど、普通科の学習について行けません。

理解ができないのです。

英語で言うと、
現在、未来、過去完了が何か? 比較の慣用表現、仮定法過去、関係副詞と関係代名詞の違い、現在、過去分詞と不定詞の用法、使役動詞や原形不定詞など

どんなに優秀な先生の講義でも、

中学文法さえあやふやな生徒にこれらの講義は、非常にわかり辛く、苦痛を感じても不思議ではありません。知識が頭に定着するのは非常に困難です。

学校側も、先生側も生徒が理解できないことはわかっていますが、普通科の指導要項上、教えないわけないはいかないのです。

ただ、英語の場合、文法が細かく理解できていなくても
なんとか問題は丸暗記で解くこともできます。

しかし、

数学はもっとひどいことになります。

三角関数、数列、ベクトル、微分積分、指数対数関数

2年生で習うこれらの単元を理解するためには、
1年生で習う2次関数、2次方程式不等式、三角比などを完璧に近く理解していなければ、
理解することはできません。

まず、その1年生の内容を理解することが、このレベルの生徒には相当な困難を伴います。

 

 

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高校普通科の勉強は大学教授になるための勉強

 

では、なぜ?

高校普通科では、これらの単元を学習することを義務付けているのでしょうか?

大学で、研究論文を書くときに、それらの知識を必要とするからです。
高校普通科の学習を基礎知識として、さまざまな学問を学びます。

ただ、自分が選択した専門分野に英語や数学の知識が必要ない場合は知らなくても問題ありません。
大学教授や研究職を目指す場合は別ですが、大学を卒業するために、普通科高校に義務付けらている学習内容がすべて必要なわけではありません。(教授になるほどの論文を書くためにはあらゆる分野の知識が必要となりますが)
大学生の大半は、卒業する頃に高校で学習した知識の大半は忘れてしまい、自分の専門分野の知識はある程度つきますが、社会に出て、就職して高校での知識はまず必要となりません。
それを証拠にこれらの知識をいまだに覚えいてる大卒生は何人いるのでしょうか?

先日、某関西私立有名大学出身者の英語塾講師が、ルートの計算(中学3年生で習う)さえ忘れていたのには流石に驚きましたが、そんなことはざらにあります。
読者の方もルートってどういう意味を持った数字だったか言えますか?

誤解を恐れずに言うならば、
高校普通科で習う知識は、大半の人たちにとって無駄だらけなのです。

ある教育者が言っていました。

「今の教育システムは、大学教授を育てるためにある」

と、
私もそれに近いことを感じます。

普通科とはそういう所です。

しかし、社会を嘆いても問題解決にはなりません。

では、この普通科の勉強について行けない子供達、生徒は、どうすればいいのでしょう。

学校や塾の先生、親たちは勉強しなさいとしか言いません。

子どもたちが

努力不足だから悪いのでしょうか?

良い塾に行き、教育にお金をたくさん投資すればこれらの生徒はできるようになると思いますか?

それともこれまでの親の対応が悪かったのでしょうか?

私はどれも違うと思います。

 

もちろん、「中の下」と言われる学校にも優秀な生徒もいます。
全ての生徒がそうとは言いません。
努力で、高偏差値の大学を勝ち取る人もいます。

ただ、これらの高校の大半の生徒は、
大学進学への勉強(大学教授になるための勉強)
には向いていないのは事実です。

当ブログで何度も取り上げてきましたが、
「遺伝的」に向いていないと受け取る方が解決策を見出す可能性が増します。

勘違いしないでください。

勉強しなくていいとか、努力しなくていいとか、
学校の授業を聞かなくていいとか
塾に通わなくていいとか

言っているわけではありません。

向き不向きをしっかり受け止めて、その上で戦略を練るのです。
「努力する」方向性を決めるのです。

そのためには
「努力したくなる」目標が必要なのです。

では、具体的にどのように今後の対策をとればいいでしょうか?

 

 

普通科の勉強に限界を感じたときの対策

 

ケース別に対策を見てみましょう。

①苦手教科はあるものの学校内でそこそこの順位をとっている

 

学校内ではそこそこの評価を得ている、または得る自信がある場合は、学校内の勉強に特化して(全国模試などは無視)学習を続けましょう。
学校内で上位10%、40人クラスで4位以内に入っていれば、学校が最大限支援してくれます。
そこをあてにして、学校に頼って進路を決めることが最善ではないでしょうか。

 

②どうしても学習が手につかないが、好きな分野があり大学にも興味がある場合

 

学校推薦では枠が限られ学部も限られてしまいますが、AO入試や一般推薦入試であれば選択肢は多くあります。塾などへの費用はできるだけおさえて、私立大学入学へ向けて準備を進めましょう。

例えば、歴史に興味を持っている人がいたとします。
そのような人は、学校の中間期末でできるだけ赤点をとらないようになんとか省エネで勉強し、
自分が興味のある歴史漫画、小説、映画、歴史にまつわる観光地、イベント巡りなど、
その興味を広げることに努力する方が将来のためです。
そんなことすれば大学に合格できない?
そんなことはありません。
今は、私立大学を中心に半分はAO入試で合格する時代だと言われています。
必ずあなたに向いた「合格できる」学部があるはず。
Fランク大学、専門学校でもいいんです。
ほんの少し名が知れた大学に運よく合格できたとしても、他の優秀な生徒に揉まれ、その後の人生どう転ぶかわかりません。(中途退学する人も少なからずいます)

「鶏頭牛後」という言葉がありますが、
例えFランク大学でも、まじめに学業に励み、その学校の上位にいれば、必ず良い出会いがあります。
(好きな事なら上位にいることも難しくないはずです)
教授や講師の方の目にとまり、引き上げてくれる例はたくさんあります。

 

大学に行きたいと思えば例えFランクの大学でも行くべき

 

こういう風に言ってしまうと次のような親の意見にされされます。

授業料が高い私立に行かせることはできない

少しでも名前のある大学に行かないと意味がない、就職できない

勉強する努力もしないのに、入れるからといって大学に行かせても意味はない

そんな大学言っても意味がない

などなど

この気持ちよくわかります。。。。。。もっともかもしれませんが、

比較優位という考え方

こう考えてみてはどうでしょうか?

経済学で
「比較優位」
という言葉があります。

例を挙げます。

有能な弁護士の花輪君はタイプを打つのも得意です。
秘書である まる子さんは
花輪君ほどはできないが、
タイプの仕事はそこそこできる。
もちろん弁護士の仕事はほとんどできない。

しかし、ここで、二人の弁護士としての能力を基準とすると、
相対的な比較として、まる子さんのタイピング能力は、花輪君より優位であると見ることができます。

つまり、花輪君は弁護士の仕事に特化し、まる子さんはタイプの仕事に特化すると、
最も効率よく仕事をすることができる。

花輪君はたくさんお金を稼ぐが、まる子さんも花輪君ほどではなくても安定した収入を得ることができます。

これはすべての人にあてはまります。

自分の比較優位な部分を見つけ出すことができたら、その世界で上位を目指せば良いでしょう。
親はそれを見つけ出す手伝いをすることができれば言うことありません。
それをわからない親は
いつまでも
「弁護士」になりなさいと、「タイプ」の勉強機会を奪い続けるのです。

ただでさえ今はオーバーエデュケーションの時代です。
自分の学歴に対して、それに見合った職業に付ける人が少ない(日本は世界一)と言われています。

高校時代に早く自分の適性を見つけ出し、その適性を磨かなければいけません。

それは学校の勉強ではない場合も多いはずです。

本題に戻ります。

つまり、例えば歴史が好きなら
その興味を広げる努力、または関連学部を見つけ、
大学合格へのモチベーションの一つとして
手に届きそうな大学、現実的な目標を
親が与えることは、すごく効果的なのではないでしょうか。

その中で比較優位的に職業は必ず見つかります。

勉強ができる人が偉い。
成績が良い人が努力している。

それは、勉強が得意な人が作った幻想で、
苦手なことに努力し続けることは普通の人はできません。

もし、学校の勉強が苦手になってしまったら、
「思い切って学校の勉強が必要ない別の道を探す」

これは、立派な選択肢で
逃げているわけでも、あきらめているわけでもないと思います。

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