あるお悩みのメッセージをいただきました。
(少し簡略化してあります)

はじめまして。 中学生の下の子に毎日悩んでいる母です。 上の子は、地元でも進学校の高校へスムーズに入学しました。私たち親子関係も良くまずは一安心ですが、下の子は正反対で中学に入ってからは授業も追いつけなくなり、課題は出せない、授業中も居眠りたりで成績は最下位グループです。今後の進路や仕事もどうでもいいそうです。 中学入学と同時に本人と話し合い家庭教師を付けたり、課題を私も一緒にやろうと声をかけたりと備えてみたのですが一年経った今も最下位から変わりません。 私の粗悪な遺伝子が邪魔をしてしまっているのでしょうか?

夫も、小さな頃からこれだけ手をかけ気にかけやってきたのに何も変わらないのはもう仕方のない事だ、私たちはこれまでどおりやれる事はやっていこう…と言ってくれます。

母として妻として申し訳なく思う毎日です。自分で変わろうと努力しないできない息子とどう接していけば良いのでしょうか?

言葉は悪いですがどうすれば諦められますか?



このようなお悩みの解消に役に立つことを目指すのが当ブログです。
おそらく、他にはない解決法かもしれませんが、
最後までお目通しくださるとありがたいです。


メッセージをくださった方(以下 質問者とさせて下さい)

私の粗悪な遺伝子が。。。。?



とありますが、

そんなふうには考えない方が良いと思います。

明石家さんまさんのほんまでっかTVでも放送されていたようですが(私はネットで知りました)
子供の成績は、母方の遺伝子の影響の方が大きいというのが学者の認識のようです。

おそらく、世間では、

成績が悪い = 遺伝子が悪い = 母親が悪い

と捉えて肩身の狭い思いをしているお母さん方がたくさんいるのではないでしょうか。


しかし、一般的に世間で言われている「遺伝」へのイメージには
少々誤解があるようです。

度々このブログで紹介していますが、
「日本人の9割が知らない遺伝の真実」(安藤寿康氏著)という本で紹介されています。
参考記事 「学力と遺伝①」

世間一般での遺伝のイメージを図にすると下図のようになります。


誤った遺伝伝達観


単純に言うと

遺伝的に学習能力の低い親からは、学習能力が低い子が生まれる。
高い親からは、高い子が生まれる。


これは、正しくありません。

一部抜粋してみましょう。

「多数の遺伝子がかかわるポリジーン遺伝の場合、子どもの形質は両親の平均値を中心に分散します。
さらに、平均へ回帰しようとする効果が働きますから、高い形質同士の親から生まれた子どもの形質は両親の平均よりも下に、低い形質同士の親から生まれた子どもの形質は両親の平均より上になることが、確率的に高くなると言えます。 (中略)
高いにせよ低いにせよ、ある階層の男女から生まれた子どもの形質は分散し、一定の確率で別の階層へ飛び出していくのですから、遺伝によって階層が完全に固定化されるとは考えにくいのです。」
上記著より

イメージでいうと、こうなります。
正しい遺伝伝達観
つまり、

親の能力と、子供の能力が同じとは限らず、
特に真ん中の棒グラフを見てください。
真ん中の棒グラフに属する親世代からは、子世代の一番上、もしくは一番下の棒グラフへ遺伝する可能性があるのです。

おそらく生物が進化する上で、このようなしくみが最も適していたのでしょう。


「神様のいたずら」

としか、言いようがないのかもしれませんが、

自分の子供の能力が低い場合、

それを親自身が自分を責める必要は無意味なような気がします。

与えられた能力で、子供に幸せを掴んでもらうしかありません。

たとえば、容姿が悪い人は、悪い人なりにとか
背の低い人は低い人なりにとか

それと同じように

学習能力も、個性であって、それを受け入れて、そこからどう対策するかが必要です。



ここで本題に戻ります。


質問者の方は、相当にお子さんの成績、態度に悩んでおられるようです。

しかし、それは優等生の兄の影響も大きいと思われます。

兄が優秀だから、父が優秀だから、
それを基準に物事を考えてしまうので、
どうしても弟へ不満がいってしまうのではないでしょうか。

確かに成績が悪い、勉強しない、努力しない、将来の目標がない、

このような状態に腹を立てない、不安にならない親はいないと思います。
子供に愛情があればあるほどそういう状態になるでしょう。


しかし、子供自身は本能的に感じています。

自分は勉強に向かない
兄より劣っている
優秀ではないので周囲に褒められない
努力しても兄や父のようになれない
母は、周囲は、僕より兄に期待している
信頼されていない
自分の将来が見えない


じゃあどうすればいいのだろうか?
自分ではわからない

自分の身を守るために、
目標や、将来の希望を持たないのかもしれません。

お母さんやお父さんは、
同じように接している、同じように投資している、同じように教育しているつもりでも

おそらく、子供からはその本音を見抜かれているはずです。

中学生にもなれば間違い無いでしょう。


じゃあどのように対策すればいいのか?


私は経験上思います。

人を変えることはそう簡単にできません。
塾で、どれだけ熱心に指導をしても、
目の前の、期末テストの点数を多少伸ばすことはできたとしても
本人の勉強態度や学習能力を劇的に変化させることは不可能と言いたくなるくらいに難しいものです。

同じように、子供を自分の思うように育てることも難しいと思います。
もちろん、親から見てすごくよく出来た子供もいます。
でもそれはたまたま運が良かったのでしょう。
たまたま性格が、親の相性と合っていたとも言えます。


成績が良い子供たちの家庭でも、人には見えない内実は、凄まじい悩みを抱えている家庭もたくさんあります。
隣の芝生は蒼く見えているのもまた事実です。


質問してくださった方の場合、

結論から言うと、

今のままでもいいと考えることがひとつの解決策のような気がします。

今のままでいいと自分自身に言い聞かせる努力が必要な時期なのかもしません。
その努力が結果的に事態を好転させていくような気がしてなりません。



お母さんは、家庭のために必死で努力しているように見えます。
思い通りにいかない、期待に応えようとしない態度をとる弟の方にストレスが溜まっているようです。

ただ、悩みの種であるお子さんも、成績は悪いにしても全く親の言うことを聞かない訳でもなく、
学校も遅刻なく行けている。
スクールカウンセラーの方が言うように、見方よっては大きな問題があるわけではありません。


「自分を変える」という努力は、大人でも簡単にできることではありません。
ましてや子供にとっては、何か大きなきっかけがない限り、現状を劇的変えることは難しいと思われます。両親のどちらかがいなくなるとか、経済的に困窮するとか
しかし、それは悪い方へ変えてしまうリスクも伴います。


お子さんに、イライラが募ったときは、怒ってもいいと思います。
それも必要でしょう。
ただ、冷静なときは、少しは子供の良いところを探してあげてください。

どうしても良いところが見つからないと思うのであれば、
きっと、自分の子供といえど、人間的な相性が合わないのかもしれません。

できるだけ、ストレスをお互い溜め込みすぎないよう、
自分のためにも考えすぎるのはよしましょう。
お互い家庭以外での吐け口があればいいのですが。



成績が悪い、勉強しない、遊んでばかりいる。
それは個性にすぎないと思います。
勉強を言われなくてもする人は、勉強を面白いと感じる力があるだけなのです。


健康で、人とコミュニケーションがしっかりとれて、毎日規則正しく生活がおくれる。

成績が悪くても、これができることはとても大きな能力です。
社会で生きていくうえでは、勉強ができるより大切かもしれません。




きっとお母さんの努力は、すぐにではないにしても
不思議とお子さんに伝わります。

いや、もう伝わっているような気がしますが。
態度に出てくるのはまだまだ先のような気がします。



私の塾でも
「勉強をしない」「遊びすぎ」という理由で、激怒した親と
大ゲンカをしている子供をたくさん見てきましたが、

その裏に親の本音の愛情が見える場合、
客観的に見ていると、ほとんどが数年単位で、その喧嘩が嘘のように収まり、
形は違ってもお互いを思いやる家庭を築けている方がほとんどです。


今はとにかく腹立たしいかもしれませんが、


できるだけ上の子とは比べず、
下の子に合った職業はないか?
勉強ができない場合はどんな進路が適切かを
期待をあまりぜず、見返りを求めず、
少しずつ考えてみてはどうでしょうか?


案外、成績が底辺でも、世の中にはいろいろな道があります。
そのような例も今後、紹介していきたいと思います。