塾でどの教科に力を入れるべきか子供の遺伝的能力から考えてみる

子供の成績はほぼ遺伝で決まるという事実を受け止める

他記事でも紹介しましたが、行動遺伝学で検証されている学習能力の遺伝の割合は

「IQで50%以上、学力で50~70%」

しかも、下記著書によると、共有環境と言う本人にはどうしようもない環境要因が原因で上記割合からさらに、学力で70%から90%が決まってしまうことなるという結果を得ているようです。

つまり、塾に通わせて成績を少しでも上位にと考えている親にとって、勝負は30~10%で行わなければならないとの認識が必要です。

その中で、費用対効果を最大限にするにはどうすれば良いかを考えましょう。

しかし、上記著には遺伝的能力以外の部分、つまり「環境」の影響についての具体的な例、どのような環境が、子供にとって最も適切で、遺伝能力を最大限に引き出せるか?という親にとって最も肝心なところが語られているわけではありません。

ただ、それについての言及はあります。

「具体的な環境の影響についてはわかっていない、検証しなければいけない要素が多くかつ複雑すぎて、科学的に検証するには不可能に近い」とあります。

もし、学力の遺伝率が50%だとしたら、残り半分は環境で決まるわけですから、ある程度、親の教育方針、学校の教育方針は、子供たちの学力に影響を与えることができそうなものです。しかし、実際はそう簡単、単純ではなく、驚くべきことに、進む学校(環境)が全く違っても、最終的な(成人)での有意な能力差は生じないのです。
私の経験上でも、進む学校の違いは子供たちへそこまで大きな差を生んでいるとは思えません。優秀な子は少々偏差値が低い学校へ行っても大学進学への障害はないし、仮にその生徒が志望大学進学に失敗し、ランクの低い大学へ通ったとしてもその能力を活かして就職で成功したりします。
(その逆もあります)

上記著書を読めば、その理由もなんとなく理解できます。(ここでは詳しく説明致しません)

 

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遺伝的に不向きなことに力を入れ過ぎない

最も重要視したいことがあります。

親が子供に対する「遺伝的向き不向き」を見極めて、それを受け入れることは、子どもにとって、能力を発揮する発現させる環境を選択、そして作っていく上ではとても重要だと言うことです。

下記表をご覧ください(これも上記著書からの抜粋)

さまざまな分野の遺伝割合グラフ

(ここで、共有環境とは、おおまかに、家族同士が共有する家庭環境のようなもの、非共有環境とは、友人や学校での環境など、個々人で違う環境の影響だと理解してください。)

これは、いろいろな形質の遺伝割合を表にしたものですが、(行動遺伝学で立証されているもの)
これによると、数学は突出して遺伝割合が大きく80%以上、対して外国語は50%と低く、環境の影響が大きいことがわかります。つまり、親は自分の子供の遺伝的な能力をある程度把握し、環境の整え方、集中投資する分野を戦略的に考える必要があります。

例えば、数学が苦手な子どもの成績を伸ばそうと、勉強時間の大半を数学の勉強に費やしたところで結果は、思うように上がらず、お金と時間を浪費してしまいます。その時間とお金を英語習得にかけた方が、人よりも成果を大きく上げ、子供の将来に大きく貢献したかもしれないのです。

恐ろしいことに苦手教科の点数を伸ばすことを目的に子供を塾に通わせている人は多いと思いますが、実は、それがもっとも非効率的な投資の仕方である可能性があります。得意分野、得意教科にとことん力を入れた方が、子供の将来にとって有益であることは遺伝的に間違いなさそうなのです。

 

苦手教科にこだわりすぎず、得意教科に力を入れる

苦手教科をなんとかしたい。また、なんとかしなければならないことはわかります。

また、苦手分野の教科を塾でするなといっているわけでもありません。塾でわかりやすく解説されると解けなかった問題も解けるようになり、テストや受験に向けてプラスに働くことも間違いありません。

ただ、苦手分野を中心に時間やお金を投資することは無駄になる可能性が高いので、バランスよく、もしくは、得意分野をさらに伸ばすことの方が投資効率が良いことを忘れないようにしましょう。

成績は他との相対評価で決まります。塾に通ってできることが増えてきても、それ以上のスピードで周りの学力が伸びれば成績は上がりません。もし、塾に通っても成績が上がらない、例えば数学が上がらないからもっと時間を増やして、勉強時間を増やして。。。。と考えるとき、そんなときに、少し立ち止まって、苦手教科の勉強はそこそこにあきらめて、他の好きな教科をもっと伸ばすことに力を入れてみる。そのような選択肢が将来大きく子供たちが飛躍するきっかけになるかもしれません。

 

 

 

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